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風を切る肩。不思議と痛みは感じない。

右手をひねる。加速。

世界が狭まる。

河の側の田舎道。

水のせせらぎも、雑木林の匂いも、蝉の鳴き声も、

この青い空も、この白い空も、全てを後ろへ追いやっていく。

右手をひねる。さらに加速。

世界が狭まる。

急に重くなった空気が私を容赦なく責め立て、たまらず身をかがめる。

元々600cc用のフレームとして設計された大柄なフルカウルは、私を大らかに包み込んだ。

右手をひねる。加速。

この日のために磨き上げたカウルはまるではじめからそうであったかのように風を切り裂き、道を作る。

久しぶりの大仕事にエンジンが歓喜の凱歌を乱暴に歌い上げ、両脇に伸びた輝くマフラーが我も負けじとけたたましいコーラスを奏でえる。

新調されたチェーンが自身を引き裂こうとする膂力に悦び狂い悶え、金切り声をやめようともしない。

あぁ、どこまでもいけるような錯覚に陥ってしまう。
今日はどこへ行こう。

彼女を迎えに行ってみようか。この時間はまだ学校のハズだ。

右手をひねる。世界が狭まる。

右ミラーの端に赤い光がちらつく…おや?

後続の軽四のカラーリングが白と黒のような気がしてならない……

……………………。
速度計を見る。160km/h over.
「前のバイク。止まりなさい」

なめんなよミニパト!
腐っても400ccじゃ!貴様なんぞ簡単に…

「前のNo.○○××のバイク。止まりなさい。」

ハイ(TДT)

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